Hirofumi Yoshida - 吉田裕史

吉田裕史

吉田裕史:指揮者

東京音楽大学指揮科及び同研究科修了。ドイツ・イタリアで研鑽を積み、2007年ローマ歌劇場カラカラ浴場野外公演を指揮、2010年1月よりマントヴァ歌劇場音楽監督に就任。

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2008年12月23日 02:09

プッチーニ 2

イタリアン・クリスマスコンサート、いよいよ今日が本番です!
みなさん、16時に紀尾井ホールでお会いいたしましょう。


⑥ 「蝶々夫人」  1904年 ミラノ・スカラ座
長崎を舞台に、没落藩士令嬢の蝶々さんとアメリカ海軍士官ピンカートンとの恋愛の悲劇を描く。抒情的で美しい音楽にあふれた傑作。プッチーニは、この曲を書くにあたって出来る限りに日本に関する資料を集めた。当時の在イタリア日本大使夫人、大山久子に何度も会って日本の事情を聞き、民謡など日本の音楽を集めた他、その頃ミラノを訪れていた明治の有名な俳優川上音二郎とその妻川上貞奴一座のミラノ公演の舞台も見物している。


⑦ 「西部の娘」  1910年 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場
初演は大成功であったが、今では上演機会の減った作品。1849年から1850年にかけての冬、ゴールドラッシュで沸くカリフォルニアが舞台、つまり"西部劇"。やはり、1850年代アメリカのポピュラー・ソングやアメリカ・インディアンの伝統的な歌の収集に努め、"老犬トレイThe Old Dog Tray"、野趣味あふれる"ドゥーダ・ドゥーダ・デイDooda,Dooda,Day"(この旋律はフォスター作曲の"草競馬"にも引用されている)など。また、ラグ・タイムのリズム、黒人音楽やジャズの導入は、20世紀音楽ではよく見られるが、プッチーニのオペラでは初めての試みであった。


⑧ 「つばめ」       1917年 モンテカルロ歌劇場
ウィーンの劇場からの依頼によって作曲されたオペレッタ的でとてもエレガントな作品。第一次世界大戦のため、初演はウィーンからモンテカルロに変更された。ストーリーや舞台設定が「椿姫」に似ていることなどから、やや個性に欠ける作品とみなされている。「エドガール」、「ヴィッリ」の次に演奏される回数が少ない。


⑨ 「三部作」  1918年 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場
"外套" 
"修道女アンジェリカ"
"ジャンニ・スキッキ"

ニューヨークでの初演、またローマでのヨーロッパ初演における3作品の評価は、おおよそ共通していて、"外套"は一応の満足を受けたもののヴェリズモ・オペラの焼き直し、亜流であるとの評、"修道女アンジェリカ"は「失敗作」、そして"ジャンニ・スキッキ"は大絶賛というものであった。
プッチーニ自身は、これら3曲を一つのセットとして同時に演奏されることを望んだが、現実的には、3つのオペラ(それぞれ約50分)を上演し、舞台転換をすることを考えると終演までには4時間以上を要する(これはプッチーニの他作品すべてよりも、またヴェルディの殆どの作品よりも長い)こと、プリマ・ドンナ級ソプラノはどうしても2人を要するので、上演コストが高くつくこと、といった問題がありバラバラに(単体で)演奏されることも多い。


⑩ 「トゥーランドット」   1926年 ミラノ・スカラ座
プッチーニの突然の死によって、未完のままとなった中国の紫禁城を舞台にした作品。初演はイタリアにとっての国家的イヴェントと見做されるほど注目を集めた。初日当夜、プッチーニによる作曲部分が終わったところ(リューの自刃の場面)で初演の指揮者、トスカニーニは突然指揮を止め、聴衆に「マエストロはここまでで筆を絶ちました」(Qui il Maestro finí.)と述べて舞台を去り、幕が慌ただしく下ろされた。2夜目になって初めてアルファーノ補作部分(上述の如くトスカニーニによるカット処理後)が演奏された。
この「トゥーランドット」物語は、オペラだけでも少なくとも12人の作曲家の作品が存在することが確認されている。


本日演奏される曲目の解説:


① 「蝶々夫人」より 第2幕 蝶々さんのアリア "ある晴れた日に"


Un bel dì, vedremo ある晴れた日に見えるのよ。
levarsi un fil di fumo sull' estremo 遠い海のかなたに、
confine del mare. 煙が立ち、
E poi la nave appare. 船がやがて見えてくる。
Poi la nave bianca 真白い船は、
entra nel porto, 港に入って、
romba il suo saluto. 礼砲を打つの。
Vedi? È venuto! 見えるでしょう? (あの人が)着いたのよ!

(全訳)
ある晴れた日、海の彼方にひとすじの煙が上がるのが見えるでしょう。
やがて船が姿を見せます。
その真っ白い船は港に入り、礼砲を轟かせます。
見える? あの人がいらしたわ!
でも私は迎えには行かないわ。行かないの。
あそこの丘の端に立って待つわ、長い時間。
長い時間待ってもなんともないわ。
すると・・・人々の群れから離れ
小さな点のように見えるひとりの人が
丘に向かって来るわ。

誰でしょう、誰かしら。
どんなふうにして着いたのかしら。
なんと言うでしょう。なんて言うかしら。
遠くから 「蝶々さん」 と呼ぶでしょう。
でも私は返事をしないで、隠れているわ。
それは、、ちょっとはいたずらでもあるし、
久しぶりに会うので喜びに死んでしまわないためでもあるのよ。
それであの人は少しばかり心を傷めて呼ぶでしょう。呼ぶわ。
「かわいい妻よ、美女桜の香りよ」
これはあの人が来た時私につけてくれた名前なの。

 


② 「トスカ」より 第1幕 トスカとカヴァラドッシの2重唱 "マリオ、マリオ、マリオ!"


ナポレオンによる共和国樹立で、一度は王政から解放されたローマ。しかし、英雄失脚の誤報に反動勢力が盛り返し、都は警視総監スカルピアの恐怖政治におののいている。反体制派の画家カヴァラドッシは教会内でマグダラのマリアの絵画制作に余念がない。そこへ恋人の歌姫トスカが登場。カヴァラドッシへの愛を歌い上げながらも、彼の周辺に別の女性の影を感じ、小さな嫉妬の炎を燃やします。

 


③ 「トスカ」より 第1幕フィナーレ スカルピア、合唱 "テ・デウム" 


スカルピアが登場。来合わせたトスカの嫉妬心を玩びながら彼女への情欲を募らせる。 聖歌隊による圧倒的迫力に満ちたテ・デウム(カトリック教会の聖歌の一つ)。

 


④ 「ラ・ボエーム」より 第3幕 マルチェッロとミミの2重唱 "マルチェッロ、助けて!"


町外れの酒場で絵を描く仕事をしているマルチェッロ。彼の元にある日ミミが尋ねてきます。ロドルフォが私の事を疑わしげに思っているのではないかと、どうか助けてほしいと・・・

 

⑤ 「トゥーランドット」より 第3幕 王子カラフのアリア "誰も寝てはならぬ"


このアリアは最終幕である第3幕で、カラフによって歌われます。第2幕において、カラフはトゥーランドット姫への求婚者にだされる3つの難題を見事に解決しました。それにも関わらず、わがままな姫はカラフとの結婚に難色を示します。そこでカラフは自分の名前を夜明けまでに当ててみせれば、結婚を諦めましょう申し出ます。ただし、名前を解き明かせなかったら、カラフとの結婚を姫は承諾しなければなりません。そこで冷酷な姫は自国の国民に対し、カラフの名を解き明かすまでは寝ることを禁ずるという無茶苦茶なお触れを出します。そして、もし誰も解き明かせなかったら、国民を皆殺しにするとまで言うのです。